遺言にまつわるQ&A
✿ 遺言にまつわるQ&A ✿
Q1 口がきけない人や耳が聞こえない人でも遺言を作成できますか?
A1 手話通訳あるいは筆談などの方法で意思の確認を行ない、作成することができます。
Q2 手や目が不自由、又は病気で起き上がれないため署名できませんが、作成できますか?
A2 ご本人が自発的に意思表示できる状態であれば、公証人の代理署名によって作成することができます。
Q3 本人は少し認知症気味です。時々はっきりしているときもあるのですが、作成できますか?
A3 公証人と直接面談してみて、意思能力があると判断できれば作成できますが、場合によってはお断りすることもあります。ご本人の状態によっては、医師の診断書の提出を求める場合もあります。
認知症は思いがけず早く進行することがありますし、そうなってからでは遺言を作成するのは大変困難になります。認知症の兆候がない方も、早めに作成することをお勧めします。
Q4 外国籍ですが、作成できますか?
A4 本人確認書類として、在留カード(外国人登録証明書)、特別永住者証明書、旅券(パスポート)などを提示して頂ければ作成できます。
Q5 遺言に記載した相続人・受遺者が自分より先に亡くなった場合には別の人に遺産をあげたいのですが、そのような遺言は作成できますか?
A5 作成できます。例えば、第1段階では「妻に全部相続させる」とし、妻が自分より先に亡くなった場合は、第2段階として「長男と二男に2分の1ずつ相続させる」といったような内容でも作成することが可能です。
この第2段階の遺言を「補充遺言」と言います。この場合、公正証書作成手数料は、第1段階を算定の基礎とします。
遺言公正証書の基本的な手数料算定方法は、遺言公正証書手数料をご覧ください。
Q6 法律的なことだけでなく、家族に伝えておきたいことも一緒に公正証書に書き添えることはできますか?
A6 もちろんできます。遺言を作成した動機、遺産の分け方の理由などのほか、葬儀を簡素にしてほしい・ペットの世話を頼む・遺留分侵害額の請求をしないでほしい等の希望や、お世話になった人への感謝の言葉など、それぞれ思い思いに書き添えていらっしゃいます。
ただし、内容が長くなると、公正証書の枚数が増えて手数料が若干高くなることがあります。別の紙に書いて正本・謄本と一緒に保管する方が適している場合もありますので、ご検討下さい。
Q7 亡くなった人が公正証書遺言を作ったかどうかもわからないのですが、調べることはできますか?
A7 昭和64年1月1日以降に作成された公正証書遺言および秘密証書遺言があれば、日本公証人連合会が管理する遺言検索システムを利用し、全国のどの公証人役場からでも公正証書原本を保管している役場を調べることができます。
しかし、昭和63年以前に作成されたものに関しては各公証人役場内で管理していますので、ご自宅近くの役場を中心に、各々問い合わせをして頂くことになります。
遺言の検索に必要な書類は、公正証書謄本の請求方法をご覧下さい。
Q8 遺言者が亡くなりました。遺言の執行はどうしたらよいですか?
A8 遺産を受け取る人または遺言執行者が、お手元の公正証書正本または謄本に基づいて、すぐに手続をすることができます。公証人役場へ届け出ていただく必要はありません。
不動産の場合は、その場所を管轄する登記所で相続を原因とする名義変更手続をしてください。登記の手続についてわからないことがあれば、司法書士に相談されるとよいでしょう。
預貯金であれば、当該金融機関で口座の名義変更または解約の手続等をしてください。公正証書以外の必要書類は、各金融機関等へ直接お尋ねください。
Q9 公正証書を持って金融機関に相続の手続をしに行きましたが、それが最終の遺言であることの証明が必要と言われました。
A9 A6のとおり、必要書類を揃えて最寄りの公証人役場で遺言の検索をかけると、昭和64年以降のものであれば、全国のどの公証人役場で作成したものでも、公正証書遺言と秘密証書遺言の有無を調べることができます。
その検索結果に基づき、遺言の作成年月日等の情報を記した書面をお渡しします。
Q10 公正証書遺言を作成したときに「正本」と「謄本」をもらいましたが、どう違うのですか?
A10 どちらも公正証書遺言の「原本」の正確な写しであることには違いないのですが、特に「正本(せいほん)」は、「原本」と同じ効力を有する写しです。公正証書の原本は、ごく限られた場合を除き、公証人役場の外に持ち出すことが禁じられているためです。
遺言執行の際、金融機関などでは正本の提示を求められることが多く、遺言執行者が正本を保管しておく方が円滑に手続できるようです。
Q11 正本謄本に、本物でない印(「印」という字の判子)が朱肉で押してあるのですが、どういうことですか?
A11 お渡しした正本謄本は原本の写しですから、「公正証書の原本にはその位置にきちんと印鑑が押してある」という意味です。それで正式なものですので、ご心配には及びません。
Q12 遺言を作ると長生きできると聞きましたが、本当ですか?
A12 遺産相続に関する悩みが解消され、ストレスが軽減したために結果的に長生きになることはありそうです。中には、初めて遺言を作成してから20年以上も経って、遺言を作りかえに来られる方もいらっしゃいます。「遺書」とは異なり、「遺言」は決して『死の間際に作るもの』ではないのです。
長生きのおまじないとして、遺言作成を考えてみてはいかがでしょうか。